-------------------------------------------------------------------------------- 5/0/0/2/先儀1黙黙紫泡誘/JuN 5/2/0/2/盗導0壊吸毒/有 -------------------------------------------------------------------------------- 偶然、視界の端に入り込んだ。 意識して見なければ気付きもしないような、ゲームセンターの隅の隅。 そこには、そっと置かれている古めかしい筐体と、それを食い入るように見つめるJuNの姿があった。 何故かJuNの姿を見ると動悸が激しくなって変な汗が出てくるのだが思い当たるふしが一切ない。 気にしないでおこう。 しかし、レトロゲームにはちょっと興味がある。 あんな目立たない場所に隠れるように置かれているゲームだ、よほどの年代物に違いない。 「ずいぶんボロっちい筐体だなー、これ知ってんの?」 「あ……木俣君。いや、なんだか懐かしい気がしてね」 「まあ古いもんは自分が生まれてない時代のやつでもなぜか懐かしい感じするもんなー」 「ん……うん、そうだね……」 「んじゃとりあえずやってみようぜ、対戦」 「えっ?」 「やんないの?」 「ううん、やるやる。一人でやってみようかと思っていたから、ちょっと驚いちゃって」 「よし、じゃスタートっと……ふーん、登録されている剣師から選ぶのか」 「……」 「数は多いけどカスタマイズできないんだな。使ってる剣もベーシックだけだし、この辺の不便さがいかにもレトロ……」 「……」 「おいJuN、どした?」 「……い、いや、なんでも。決まったらボタンを押せばいいのかな?」 「たぶんな。うーん、適当に選ぶか……なんて読むんだこれ、がい……かん? こいつでいいや」 「あ、始まった……」 「シンプルだなぁ。あれ、こいつどっかで見たような顔……気のせいか。そっちは何かJuNにそっくりだな、はは」 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 10/0/1/2/命死鏡盾護/JuN 10/0/0/2/速盾熱絶命回6/有 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 「長期戦になるんだな……ベーシックだけだとこれが普通なのかな」 「うん……どうだろうね」 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 6ターン 6/0/4/2/死盾護/JuN/<盾*3><命> 9/4/0/7/速盾熱絶回6/有/<盾*4><命> 有 加速、盾、加熱 → 9/5/0/8/速盾熱絶回6/有/<盾*5><命> 有 絶対剣 → (ガード)ダメージ3点 3/0/4/2/死盾護/JuN/<盾*2><命> 有 回復剣 → 10/5/0/8/速盾熱絶/有/<盾*5><命> JuN デス剣 → (ガード)ダメージ5点 5/5/0/8/速盾熱絶/有/<盾*5><命> JuN 盾の剣 → 3/0/4/2/死盾護/JuN/<盾*3><命> 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 「おお……盾の剣が活躍している……美しきかな過去の栄光」 「いや盾の剣は今でも現役ですし」 「すんません」 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 8ターン 1/0/5/2/盾護/JuN/<盾*3> 5/6/0/9/速盾熱絶/有/<盾*5><命> 有 加速、盾、加熱 → 5/7/0/10/速盾熱絶/有/<盾*6><命> 有 絶対剣 → (ガード)ダメージ4点 -3/0/5/2/盾護/JuN/<盾*2> 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 勝者:10/0/0/2/速盾熱絶命回6/有 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 「お、勝った」 「負けちゃったかぁ……」 「うーん、悪くはないけど、もう1回! って感じにはならんなぁ。JuN、他のゲームやりに行こうぜ」 「あ……ごめん、僕はもう少し」 「お? そっか。んじゃま、俺は適当に回ってるわー」 「うん。ごめんね、付き合ってくれてありがとう」 「い、いや、気にすんな……」 その場から少し離れ、深呼吸をする。 うーむ平静を装ってはいたがドキドキしたぜ。 俺は一体どうしてしまったんだろう。 もしかしてそっちのケがあったのか。 いやいや、別に乱と女装デートしたいとか思わねえし。 有坂とメガネ合戦したいとか思わねえし。 JuNと…… うーん、これは本格的にダメかも知らんね。 頭を抱えていると、一瞬にして視界が暗闇に閉ざされた。 慌ててあたりを見回す。 僅かに、電子機器のランプがチカチカと瞬く。 あちこちに携帯端末の光が浮かび始める。 ざわめく声、急にテンションが上がって雄叫びを上げる馬鹿、女子の集団が寄り添って笑う声。 しばらくすると再び明かりがついた。 館内アナウンスが、小規模な停電があったことを知らせる。 ゲーム筐体の電源が一斉に戻り、あっという間に辺りは騒がしい音楽で満たされた。 ゲームの途中だった者は金返せと憤慨し、どさくさで女子に抱きついたりしてた男子が殴られ、停電前より一層騒がしくなる。 なんだったんだろう、聖域で停電なんてあり得るのか? そうだ、JuNは大丈夫かな。 振り返ると、JuNの姿はもうなかった。 それどころか、さっきまで確かにあったはずのレトロなゲーム筐体さえ跡形もなく消えていた。 明らかにおかしな状況だったが、なぜか心が騒ぐことはなかった。 -------------------------------------------------------------------------------- 勝者:有 --------------------------------------------------------------------------------