-------------------------------------------------------------------------------- 5/0/0/2/警先儀1黙黙怪詠/己己己己りらく 5/2/0/2/盗導0壊吸毒/有 -------------------------------------------------------------------------------- ドゴーンと腹に響くような音が聞こえた気がした。 どうやら格闘ゲームの一角らしいが、あんな音がするゲームあったっけ? ちょっと見に行くことにする。 そこには、悠然と台に座る黒髪ショートの女子と、その向かいで対戦していたであろう男子が床で潰れていた。 状況がよくわからないが、あの女子は確か己己己己りらくだ。 俺の中ではこっそりヨメナイさん2号と呼んでいる。 なんかやたらと腕っぷしが強いということ以外は謎に包まれた生徒である。 とりあえず遠くから傍観してみる。 別の男子が挑戦者として向かいの台に座った。 心なしか汗がすごいように見える。 そんなに強いんだろうか、2号さん。 対戦が始まる。 ごく普通の立ち上がり。 お互い牽制し、隙を窺っている。 若干、挑戦者が焦り始めた。 どうしたのだろう、まだそんな時間ではないと思うけど。 ふっと、2号さんの後ろに骸骨が見えた気がした。 まさか。 骸骨はゆっくりと挑戦者の側に歩いていくと、空に飛び上がらんばかりのアッパーをぶちかます。 男子はきりもみ回転しながら墜落した。 颯爽と去っていく骸骨。 2号さんWIN。 ……いや、そんなのアリかよ。 忘れかけていたけど、そういやここ模擬戦のフィールドだったんだよな。 2号さんはそれを有効に活用して勝ちを収めたのだ、エアホッケーでの肩亀赤男のように。 こうなると俺も黙ってはいられない。 次お前行けよ、嫌だよお前が行け、などとざわめく野次馬をかき分けて、挑戦者の席に着いた。 言葉はいらない。 開幕からすぐさま飛び込んで弱攻撃を入れる。 しかし2号さんには想定の範囲内だったのか、先読みのガードで防がれる。 だがその一撃は布石。 反撃をきっちり防御し、離脱すると見せて不可視の罠を既に仕込んでおいた。 とにかく速攻で倒さなければメテオラに吹っ飛ばされてしまう。 コンボの道筋は見えている。 後は相手が乗るか否か。 2号さんは無理やり攻める必要がないためか、一旦下がって飛び道具による牽制に切り替えた。 かかった。 飛び道具のみに反応して反射する罠が作動する。 不意の状況に僅かに生まれた隙を逃さず攻め込む。 起き上がりも丁寧に潰し、周りからちょっとやり過ぎ、引くわ、などと言われても仕方ないくらいの陰湿さで攻め続け、素早く完封した。 ふふふ、俺の使うトリッキーなキャラはうまくハマれば強いのだよ。 得意顔で席を立つと、案の定冷ややかな視線が突き刺さってきた。 いや、だってさ、しょうがないじゃん。 得意げなプレイで圧勝したりするとあんまり印象良くないのかな……などと、今更ながらに学びつつ退散するのだった。 -------------------------------------------------------------------------------- 勝者:有 --------------------------------------------------------------------------------